発達障害の診断・治療
発達障害とは
発達障害とは、成長の過程における脳機能の発達に関係する障害です。発達障害には、主に下記の種類があります。
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠陥多動障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
具体的には、言葉の発達の遅れ、読み書きや計算が極端に苦手、不器用、興味・関心のかたより、コミュニケーションをとることの困難さ、不注意、集中できない、じっとしてられないなど学習機能や社会機能、行動に症状があらわれます。
治療について
発達障害の治療は、より早期に取り組むことで社会的な機能や適応がより良いものになります。まずは、行動や反応から発達障害に気付くことが大切です。落ち着きがない、話を聞かない、雷や大きな音が苦手、作業が極端に遅い、不登校になる、引きこもるなど、気になる点がございましたら児童思春期専門の医療機関にご相談ください。当院でも小学生以上の方は、診察をしています。ただ当院で評価が難しい場合は、より機能が充実した専門医療機関にご紹介させていただきます。
発達障害は、障害の程度や年齢、生活環境などにより症状は異なり、複数の障害が重なって現れることもあります。治療では、まず対話や行動を観察することで発達障害の特性やそれに付随する問題点を明らかにします。心理士のよる心理検査も診断の補助として活用していきます。診療においては、行動療法的な手法も使い、困難と感じる場面で適応が可能か評価しながら取り組んで行きます。社会性やコミュニケーション能力など、社会に適応して生活していく力を身につけ、 自分らしさを持ち自立していくトレーニングが必要であれば、専門の医療機関へご紹介させていただきます。
また、自閉症などの一部症状(不安、抑うつ、強迫症状、易刺激性など)には、ドパミン拮抗薬やセロトニン系薬剤などを用いた薬物療法を行います。発作の症状が見られる場合には、抗てんかん薬を使用することもあります。
具体的には、ADHDの不注意症状や多動衝動性、ASD(自閉スペクトラム症)を背景とした衝動行為などには、薬物治療が有効なことがあります。十分な評価の上必要性があれば、導入について本人保護者の方と相談いたします。
大人の発達障害について
社会で何度も不適応を起こしたり、不安抑うつ症状が繰り返し、社会生活が送れない方々の中には、発達障害が軽度であったために幼少期には気づかれず療育対象にならなかっただけで、発達障害の特性ゆえに困難に陥っている方々がいます。今は大人の発達障害として知られていますが、二次的に生じたうつや不安の治療に加えて、その人の持っている特性が生かされる、あるいはその人の特性に合わせて、適応の障害にならない環境を一緒に考え、その環境につなげていくという環境調整が必要となります。